動物病院に着くまでに:猫の出血を止めるための応急処置
傷口を5分間直接圧迫し続けることで、ほとんどの出血は止めることができます。興奮した猫をタオルで安全に保定する方法、爪や咬傷などの部位別対処法、目に見えない内出血のサイン、そして猫の傷口に決して使用してはならない家庭用品について解説します。

応急処置の基本
最初の10分間に必要なものは、清潔な布、タオル、そして猫と格闘せずに入れられるキャリーバッグだけです。
傷口を清潔な布などでしっかりと直接圧迫し続けることが、手の届く範囲のほぼすべての出血を止める最も有効な方法です。途中で血が止まったか確認するために布を持ち上げてはいけません。最低でも5分間はそのまま圧迫し続けてください。途中で様子を見ようと布を離すと、形成されつつある血栓(かさぶたのもと)が剥がれてしまい、再び出血が始まってしまいます。
第二に行うべきことは、猫の安全な確保です。痛みを感じている猫は、たとえ大好きな飼い主であっても噛んだり引っ掻いたりします。飼い主が怪我をして出血してしまうと、病院への運転すらできなくなります。猫をタオルで包み、怪我をしている部位だけを露出させ、誰かに圧迫を続けてもらいながら、もう一人が動物病院に電話をかけましょう。
- 清潔な布やガーゼで傷口を直接圧迫します。様子を見ずに、タイマーで計って最低5分間は圧迫し続けてください。
- If blood soaks through, add another layer on top. Never peel off the first one.
- 止血帯(トルニケ)を使用したり、四肢や尾、首をきつく縛ったりしないでください。
- 歯茎の色を確認してください。歯茎が青白かったり、白や灰色になっていたりする場合は、目に見える以上の出血(内出血など)が起きている可能性があり、一刻を争う緊急事態です。
- 猫による咬傷(噛み傷)は、出血が止まったとしても必ず獣医師の診察を受けてください。傷口がすぐに塞がることで、内部に細菌を閉じ込め、感染症を引き起こすためです。
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猫に人間用の鎮痛剤(痛み止め)を絶対に与えないでください。
アセトアミノフェン(パラセタモール)は、人間にとっては少量であっても猫には致命的です。猫にはこの薬を代謝するための肝臓の酵素経路が欠如しているためです。イブプロフェンやアスピリンも猫に対して強い毒性があります。動物病院に行くまでの間に安全に与えられる人間用の鎮痛剤は存在しません。鎮痛剤を与える行為は、治療可能な怪我を「薬物中毒」という二重の緊急事態に変えてしまいます。猫が痛がっている場合は、薬箱を開けるのではなく、一刻も早く獣医師のもとへ連れて行く理由になります。
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猫の傷口にオキシドール(過酸化水素水)、消毒用アルコール、ティーツリーオイル、フェノール系消毒薬を使用しないでください。
オキシドールは治癒しようとしている組織を傷つけ、再出血を引き起こす原因になります。ティーツリーオイルなどのエッセンシャルオイル(精油)は皮膚から吸収され、猫に中毒を引き起こします。水に混ぜると白濁するフェノール類を含む家庭用消毒薬は、微量であっても猫にとって非常に危険です。自宅の傷口に使用してよいのは、水道水または滅菌生理食塩水のみです。
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- 対象動物
- 猫
- カテゴリ
- 応急処置
- 危険度
- 高
- 最初の行動
- 清潔な布で傷口を直接圧迫する(タイマーで5分間、様子を見ずに続ける)
- 第二の行動
- 猫をタオルで包み、動物病院に電話する
- 禁止事項
- 止血帯の使用、オキシドールの使用、人間用鎮痛剤の投与、傷口を詮索すること
- 緊急受診の目安
- 血液が噴き出している、歯茎が白い、虚脱している、または胸部・腹部・眼の負傷
60秒で判断する状況別対処法
| 状態 | 今すぐ行うこと |
|---|---|
| 軽微な擦り傷、わずかににじむ程度、猫は元気 | 5分間圧迫する。水道水のみで洗浄する。その後数日間、腫れが出てこないか観察する。 |
| 四肢や体からの持続的な出血 | 直接圧迫をタイマーで5分間行う。血が染み出る場合は上から布を重ねる。動物病院に連絡してすぐに向かう。 |
| 血液がドクドクと、または噴き出すように出ている | 一刻を争う緊急事態。病院に到着するまでしっかりと圧迫を続け、病院が受け入れ準備を整えられるよう事前に電話を入れる。 |
| 爪が折れた、または剥がれて出血している | 圧迫止血を行い、爪の先端に止血粉(クイックストップなど)またはコーンスターチ(片栗粉でも可)を押し当てて圧迫する。当日中に受診する。 |
| 耳介(耳の平らな部分)からの多量の出血、猫は元気 | 耳を頭部に平らに折りたたむようにし、両側からパッド(ガーゼ等)で挟んで保持する。激しく出血するが、命に関わることは稀。要受診。 |
| 他の猫による噛み傷や引っ掻き傷、出血はごくわずか | 当日中に必ず受診する。目に見える傷の小ささは、問題のほんの一部にすぎない。 |
| 傷口にガラス、木片、金属などの異物が刺さっている | 異物を絶対に引き抜かない。異物の周囲にパッドを当てて固定し、すぐに病院へ向かう。 |
| 歯茎が青白い・白い・灰色、肉球が冷たい、虚脱、呼吸が速く浅い | 緊急事態。夜間であってもすぐに救急病院へ。ショック状態に陥っている。 |
| 外傷がないのに鼻、口、尿、便から出血している | 緊急事態。獣医師が否定するまでは、血液凝固異常(中毒など)を疑う。 |
| 眼、胸、腹部の傷、または組織が飛び出している | 一刻を争う緊急事態。湿らせた清潔な布で軽く覆い、飛び出しているものを絶対に押し戻さない。 |
傷の手当ての前に、まず猫を安全に保定する
怪我をした猫は恐怖と痛みの中にあり、あなたが助けようとしていることを理解できません。普段はどんなに温厚な猫であっても、このような状態では噛みつくことがあります。猫による噛み傷は深く、口内の細菌が入り込むため、人間が噛まれると急速に重い感染症を引き起こします。
ドアを閉めた狭い部屋の、床の上で作業する
高い場所や広い空間は、猫が逃げ出そうとする原因になります。作業を始める前に、逃げ道をなくしておきましょう。
タオルを使用する
大きめのタオルを広げ、その上に猫を乗せ、体の両側から包み込むようにして前肢を固定します。怪我をしている部位だけをタオルの外に出します。これは猫の応急処置において最も重要な技術であり、飼い主の身を守るだけでなく、猫自身が暴れて怪我を悪化させるのを防ぎます。
できれば二人で行う
一人が猫を保定し、もう一人が圧迫止血と電話連絡を行います。電話はスピーカーフォンにして、両手を猫から離さないようにしてください。
呼吸が苦しそうな猫に口輪(マズル)をつけない
呼吸困難を起こしている猫の口や鼻を塞いではいけません。
呼吸困難や虚脱が見られる場合は、手当てを中止する
猫が息苦しそうにしていたり、ぐったりしている場合は、保定や傷の手当てよりも呼吸の確保が最優先です。最小限の接触でキャリーバッグに入れ、すぐに車を走らせてください。
効果的な圧迫止血の方法

ガーゼ、清潔なタオル、開いたキャリーバッグを、必要になる前に準備しておきましょう。猫が出血している最中にこれらを探し回ると、一分一秒を争う貴重な時間を無駄にしてしまいます。
清潔で吸収性の高いものを使用する
滅菌ガーゼが理想的です。清潔なふきん、折りたたんだ綿の布、生理用ナプキンなども代用できます。傷口に繊維が残る可能性があるため、脱脂綿やコットンボールの使用は避けてください。
出血点(血が出ているまさにその場所)を直接圧迫する
傷口の周りではなく、出血しているピンポイントの場所を狙います。均等に、しっかりと、持続的に圧迫し続けます。
時間を計る
頭の中で考える5分間は、実際の5分間よりもはるかに短く感じられます。必ずタイマーをセットしてください。血が止まったか確認するために布を持ち上げてはいけません。せっかく5分間かけて形成されつつある血栓を剥がしてしまうことになります。
血が染み出てきたら、上から重ねる
最初のパッドの上に2枚目のパッドを重ね、さらに強く圧迫します。血を吸ったパッドを剥がすと、一緒に血栓も剥がれてしまいます。
猫が嫌がらなければ、出血している肢を少し高くする
猫が暴れない場合に限ります。暴れて抵抗すると、血圧が上がりさらに出血が増えてしまいます。
正しく圧迫し続けても10分以上出血が収まらない場合は、すぐに病院へ向かう
車内でも圧迫を続けてください。移動中に新しいガーゼに交換しようとしないでください。
部位別の出血への対処法
爪と肉球
爪が折れたり、深爪をしたりすると、驚くほど大量に出血します。爪の先端に市販の止血粉(クイックストップなど)、コーンスターチ、または小麦粉を押し当て、圧迫します。肉球の傷は出血が多く、猫が歩くたびに傷口が開くため治りにくく、通常は動物病院での治療が必要です。
耳
耳介(耳の平らな部分)は激しく出血します。耳の両側をパッドで挟み、耳を頭のてっぺんに平らに折りたたむようにして優しく保持します。猫が頭を振るとそのたびに再出血するため、病院で適切に包帯を巻いてもらう必要があります。
尾(しっぽ)
尾の先端の怪我は出血しやすく、猫が尾を振ることで周囲に血が飛び散ります。パッドを当てて軽く包帯を巻き、受診してください。尾の血流は遮断されやすいため、決してきつく縛ってはいけません。
口、舌、歯茎
これらは激しく出血し、圧迫止血が困難な部位です。興奮している猫の口の中に指を入れないでください。猫をできるだけ落ち着かせ、すぐに病院へ連れて行きましょう。
鼻
外傷がないにもかかわらず鼻血が出ている場合、猫にとっては軽い問題ではありません。高血圧、凝固異常、または鼻腔内の疾患(腫瘍など)を示唆している可能性があります。猫を静かにさせ、嫌がらなければ鼻筋に冷たいパックを当て、速やかに受診してください。
咬傷(噛み傷)
目に見える傷は小さな穴が数個開いているだけかもしれません。しかし、その下では牙によって細菌が深く注入され、皮下組織が引き裂かれてポケット状の隙間ができています。皮膚は1〜2日で塞がりますが、内部の細菌は消えないため、数日後に膿瘍(膿が溜まったポケット)を形成します。また、噛み傷は猫同士の深刻なウイルス感染症(猫エイズや猫白血病など)を媒介します。どんなに小さな噛み傷でも、必ず動物病院を受診してください。
胸部および腹部の傷
胸や腹部に達する貫通傷は、どんなに小さく見えても緊急事態として扱ってください。胸に穴が開くと、肺の周囲の空間に空気が入り込み(気胸)、呼吸ができなくなります。湿らせた清潔な布で傷口を軽く覆い、強く圧迫せずに、すぐに病院へ向かってください。
異物が刺さっている場合
刺さっている異物(ガラス、木片、金属など)は絶対に抜かないでください。その異物自体が血管を塞いで止血の役割を果たしている可能性があります。異物の周囲にパッドを当てて動かないように固定し、すぐに受診してください。
目に見えない内出血のサインを見落とさない

唇を持ち上げて、犬歯の上の歯茎の色を確認します。健康な状態のときの正常な色を普段から知っておくことで、緊急時の異常に素早く気づくことができます。
本当に危険な出血は、目に見えないことが多いものです。落下事故や交通事故の後の腹腔内や胸腔内への出血、あるいは皮下出血などがこれに該当します。
歯茎の色
健康な猫の歯茎はピンク色です。薄いピンク、白、灰色、または青みがかった色は緊急事態です。猫の歯茎に生まれつき黒い色素沈着がある場合は、下まぶたの内側や舌の色を確認してください。
毛細血管再充満時間(CRT)
歯茎を指先で白くなるまで軽く押し、離します。通常であれば、すぐに元のピンク色に戻ります。戻るのが明らかに遅い場合は、循環不全(ショック状態)が疑われます。
四肢の温度
寒い部屋にいるわけでもないのに、耳や肉球が冷たくなっている場合、体の大事な臓器に血液を優先して送るために末梢の血流が低下している(ショック状態の)サインです。
呼吸
怪我をした猫が、速く浅い呼吸をしていたり、口を開けてハアハアと呼吸(開口呼吸)をしていたりする場合。
行動の変化
ぐったりしている、立ち上がれない、反応が鈍い、あるいは普段は絶対に隠れないような場所に隠れて出てこない場合。
事故後の腹部の張りや腫れ
外傷の後に、お腹が張っている、または腫れているように見え、さらに歯茎が白い場合は、お腹の中で大量に出血している可能性が極めて高く、一刻を争う救急治療が必要です。
怪我がないのに見られる紫斑(青あざ)
お腹や歯茎に平らな紫色の斑点がある、血尿、タール便(黒い便)、あるいは複数箇所からの同時出血がある場合は、血液が正常に固まらなくなっている可能性があります。殺鼠剤(抗凝固剤)の中毒などが原因として考えられます。猫が直接殺鼠剤を食べた場合だけでなく、毒を食べて弱ったネズミを捕食した場合でも二次中毒を起こします。少しでも心当たりがある場合は、必ず獣医師に伝えてください。特定の治療法(ビタミンK投与など)があります。
動物病院への搬送
車で2分の距離であっても、必ず事前に電話を入れてください。病院側で受け入れ準備を整えることができ、かかりつけ医に行くべきか、あるいは高度な救急センターに向かうべきかの指示を受けることができます。
キャリーバッグは、できれば天井が開くタイプ(トップオープン型)を使用してください。怪我をした猫を狭い正面の扉から引っ張り出すと、強い痛みを与えてしまいます。正面しか開かないタイプの場合は、猫を引きずり出すのではなく、キャリーの天井部分のパーツを取り外して猫を救出してください。
キャリーの底にはタオルを敷いてください。猫を温めることは重要ですが、熱くしすぎないように注意してください。ショック状態の猫は体温が低下しますが、湯たんぽなどを直接皮膚に当てると低温火傷の原因になります。また、急激に体表面を温めすぎると、血液が皮膚表面に流れてしまい、本当に血液を必要としている重要臓器への血流が減少してしまいます。
カーステレオは消し、静かに落ち着いて運転してください。キャリーバッグは膝の上ではなく、座席の後ろの足元など、平らで安定した場所に置いてください。
中毒の可能性がある場合は、原因と思われる薬剤の容器、パッケージ、または植物を持参してください。また、可能であれば、包帯を巻く前に傷口の写真をスマートフォンなどで撮影しておくと、獣医師の診断の助けになります(ただし、これにより出発が遅れないようにしてください)。
絶対にやってはいけないこと
絶対に止血帯(トルニケ)を使用しないでください。専門知識のない人が止血帯を使用すると、その先の四肢の組織が壊死してしまいます。家庭で遭遇するほぼすべての出血は、直接圧迫止血で対応可能です。
5分が経過する前に、出血が止まったかどうか確認するためにパッドを持ち上げないでください。
噛み傷などの深い傷口を詮索したり、奥深くまで洗浄したり、刺さっているものを引き抜いたりしないでください。傷の深さは外見からは分からず、かえって汚染物質を奥に押し込んでしまう危険があります。
きつく包帯を巻かないでください。特に尾、首、四肢には、伸縮性のないものできつく巻いてはいけません。きつすぎる包帯は、元の傷よりも早く、かつ深刻な組織ダメージを引き起こします。
人間用の傷薬、消毒軟膏、抗生物質クリームなどを塗らないでください。猫は傷口を舐めてしまうため、塗った薬をすべて飲み込んでしまいます。
出血が止まったからといって、猫の噛み傷を自然治癒に任せて放置しないでください。
高所から落下した猫が、すぐに立ち上がって歩いたからといって「大丈夫」だと思い込まないでください。内出血、膀胱破裂、横隔膜ヘルニアなどは、事故の直後は元気そうに見えても、数時間後に症状が現れて命に関わることがあります。
猫にとって、どれくらいの出血量が危険ですか?
出血は止まりました。それでも受診は必要ですか?
人間用の絆創膏や包帯を猫に使ってもいいですか?
猫の傷のかさぶたが、ぶつかるたびに再出血します。どうすればいいですか?
すぐに獣医師の診察を受けるべき目安

ここまでの応急処置の目的は、出血をコントロールし、猫を温かく落ち着かせた状態で、受け入れ準備の整った動物病院へ無事に届けることです。
今すぐ(夜間・休診日でも救急受診)
血液がドクドクと、または噴き出すように出ている、10分間正しく圧迫しても出血が収まらない、歯茎が白い、虚脱している、呼吸が苦しそう、眼・胸・腹部の傷、異物が刺さっている、外傷がないのに複数箇所から出血している。
当日中(できるだけ早く受診)
他の動物による噛み傷や引っ掻き傷、爪が剥がれた、肉球の怪我、傷口がパックリ開いている、外傷のない鼻血、または怪我をしてから元気がなく隠れている。
24時間以内(様子を見ずに受診)
元気な猫の軽微な擦り傷であっても、傷口が塞がって細菌が閉じ込められる前に、汚染がないか確認してもらうために受診をお勧めします。
病院に電話する際は、**「何が原因で怪我をしたか」「いつ頃起きたか」「外に行く猫か」「他の動物との接触があったか」「現在の歯茎の色」**を伝えてください。特に歯茎の色は、病院側が緊急度を判断する上で極めて重要な情報になります。
ハイライトとメモ
この記事は一般的な健康教育を目的としており、専門的な獣医学的アドバイスの代わりにはなりません。ペットが調子悪い場合は、獣医師にご相談ください。