pH・GH・KHの基本:水の硬度がなぜ大切か
pH・GH・KHは多くの初心者を戸惑わせますが、三つ合わせてどの魚が育つか、水槽がどれだけ安定するかを決めます。本記事では各指標をやさしく解説し、互いの関わり、水道水に合わせた魚選び、そしてなぜ完璧なpHの数字を追うのが多くの場合まちがいなのかを説明します。

すぐわかる答え
pHは水が酸性かアルカリ性かを、GH(総硬度)はカルシウムやマグネシウムなどの溶けたミネラル量を、KH(炭酸塩硬度)は水がpHの変動に抵抗する力を測る値です。多くの飼育者にとって、特定のpHの数字に合わせることより、飼う魚に合った安定した水のほうがはるかに大切です。いちばん役立つ習慣は、まず自分の水道水を検査し、そこで元気に暮らせる魚を選ぶことです。

pH・GH・KHは初心者を戸惑わせますが、三つ合わせてどの魚が育つか、水槽がどれだけ安定するかを決めます。
- pH
- 酸性・アルカリ性、0〜14(7が中性)
- GH
- 総ミネラル量、dGHまたはppm
- KH
- 炭酸塩の緩衝力、dKHまたはppm
- 軟水
- おおむね0〜8 dGH
- 硬水
- おおむね12 dGH以上
- 鉄則
- 「完璧」より「安定」
pH:良し悪しではなく酸性度
pHは0から14まで、酸性からアルカリ性へと並び、7が中性です。対数目盛なので、1目盛の変化は酸性度が10倍変わることを意味し、これこそ急なpH変動が魚に厳しい理由です。種によって適するpHは違います。多くのテトラ、ラスボラ、グラミーといった軟水魚は6.0〜7.0あたりの弱酸性を好み、グッピー・モーリー・プラティなどの卵胎生魚やアフリカ地溝湖のシクリッドは7.5〜8.5あたりの硬めのアルカリ水を好みます。何より、魚が慣れた安定したpHは、揺れ動く「教科書どおり」のpHに勝ります。

pH・GH・KHは別々の検査で、合わせて水の性格を表します。
GH:魚が必要とするミネラル
総硬度は、溶けたミネラル(主にカルシウムとマグネシウム)の濃度です。魚はこれをエラ、骨、うろこ、そして絶え間ない浸透圧調整に使うので、GHは水草だけの数字ではありません。軟水魚は低GHに適応し、とても硬い水では苦しみます。硬水魚はそのミネラルがないと健康や発色を保てません。GHは度数(dGH)かppmで表され、1 dGHは約17.9 ppm、つまり4 dGHはおよそ70 ppmです。目安として0〜4 dGHが極軟水、4〜8が軟水、8〜12が中硬水、12以上が硬水です。
KH:安全のための緩衝
KH(炭酸塩硬度)は三つの中で最も過小評価されがちです。炭酸塩と重炭酸塩を測る値で、これが魚の排泄物、窒素サイクル、CO2によって水槽で絶えず生じる酸を中和する緩衝材になります。KHが低すぎると緩衝が尽き、pHが一晩で急落することがあり、これは本当に危険です。多くの混泳水槽ではおよそ4 dKH以上の健全なKHがあれば、換水と換水の間もpHが安定します。放置された古い水槽がときに突然pH崩壊を起こすのはこのためで、何週間もたまった酸が緩衝を少しずつ使い果たし、ある日一気に破綻します。

水に合わせて魚を選ぶ:軟水魚と硬水魚は必要とするものが大きく違います。
三つはどう関わり合うか
KHとpHは結びついています。KHが高いほど、緩衝が下方への流れに抵抗し続けるので、pHは高めで安定します。GHとKHは水道水では一緒に上下しがちですが、別々に測る値で、ずれることもあります。たとえばエビ用に再ミネラル化したRO水は、高GH・低KHになり得ます。だから単に「pHダウン」剤を入れるのは危険です。KHが低ければ激しい変動を起こし、高ければpHは一日で跳ね返り、もっと入れたくなってしまう。水道水の硬度は地域で大きく違うので、思い込まずに自分の水源を検査しましょう。
水に合わせて魚を選ぶ
いちばん楽な水槽は、蛇口から出る水に合わせて生体を選んだものです。まずはこの地図を出発点にし、検査で確かめてください。
| 水質 | GH/KHの目安 | 相性の良い魚 |
|---|---|---|
| 軟水・弱酸性 | 0〜6 dGH、低KH、pH 6.0〜7.0 | テトラ、ラスボラ、グラミー、小型シクリッド、多くのエビ |
| 中硬水 | 6〜12 dGH、KH 3〜6、pH 7.0〜7.5 | ダニオ、バルブ、コリドラス、多くの混泳魚 |
| 硬水・アルカリ | 12 dGH以上、KH 6以上、pH 7.5〜8.5 | グッピー、モーリー、プラティ、金魚、地溝湖シクリッド |
水質を調整する:二つの流派
水を変えるか、選ぶ魚を変えるか。飼育者の間には本物の分かれ道があり、どちらも正当です。
第一の、そして最もおすすめの流派は、自分の水道水に寄り添うこと。水源に合う種を選ぶほうが安く、はるかに安全で、しかも長続きします。換水のたびに、魚が元から好む水で満たし直せるからです。第二の流派は水質を積極的に調整するもので、野生採集の軟水魚を飼う、気難しい種を繁殖させるなど、必要な場合もあります。この道を選ぶなら、混合水が水槽に入る前に水源側でGHとKHを整え、展示水槽内でpHを直接追いかけないこと。
| 目的 | よくある方法 | 備考 |
|---|---|---|
| 軟らかく/pHを下げる | RO水の混合、ピート、流木、マジックリーフ(モモタマナの葉) | 穏やかで緩やか。タンニンで水が茶色に色づく |
| 硬く/pHとKHを上げる | サンゴ砂、アラゴナイト、石灰石、市販の再ミネラル化剤 | 徐放性の緩衝材が最も安全 |
| 低いKHを安定させる | フィルターにサンゴ砂、少量の重曹(KHのみ上昇) | 検査しながらゆっくり。変動を避ける |
即効性の「pHアップ」「pHダウン」のボトルを主役にしないこと。KHを理解しないまま使うと、避けたいはずの変動そのものを招くことがほとんどです。